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【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】部下人事“損失補填”の不可欠 (1/2ページ)

★「親分力」の磨き方(4)

 ビジネスマンなど組織に所属する人間にとって、人事は少なからず関心事である。栄転となればヤル気も出るが、逆なら不満と目をかけてくれない上司への“恨み節”を引きずることになる。ために、上司は部下の人事に、常に神経を使うべしということである。

 田中角栄は首相時代、こんな話を残している。大蔵省の事務次官人事である。時の蔵相は福田赳夫で、後任に主計局長の橋口収を推した。慣例からすれば、主計局長は事務次官の待機ポストゆえ、福田は常識的な線を選択したことになる。

 ところが、田中が親近感がある高木文雄主税局長を推してきたのだった。結局、福田蔵相は田中首相を立てたかたちで、「高木次官」を実現させた。だが、主計局長が事務次官になれずで、面目を潰された橋口には立場がない。ここで、田中の打った手が素早かった。当時の大蔵省詰め記者の証言が残っている。

 「事務次官だった相沢英之が、橋口の処遇を田中に相談に行った。その場で、田中は経済企画庁長官に電話を入れ、通産省枠だった経企庁事務次官に橋口を起用せよと命令した。しかし、通産省が即イエスとならず、手間取った。そんな中で、ちょうど国土庁の新設が決まったことで、田中は経企庁をあきらめ、直ちに橋口の国土庁初代事務次官を決めてしまった。当初、橋口は田中に背を向けていたが、こうした処遇を多とし、田中とのわだかまりは急速に氷解していったのです」

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