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【大前研一 大前研一のニュース時評】どんどん圧力強める中国の「香港の国歌条例案」 返還協定を形骸化…英国も腰砕け (2/2ページ)

 香港の若者たちが行政長官選挙制度の民主化を要求した14年の大規模デモ「雨傘運動」が香港警察に強制撤去されて以降、民主運動をやっていた人たちは議会選挙にも立候補できなくなった。

 さらに、中国政府を批判する人は、中国を旅行している間に身柄を拘束された。中国共産党に批判的な書籍を扱っていた書店の関係者らが突然行方不明になる事件もあった。民主社会ではありえない弾圧が雨傘運動後、相次ぎ起きた。そして今回、中国国歌を歌わないと罪に問われることになった。

 ただ、香港市民へのアイデンティティー認識調査では、自分たちを「香港人」と思っている人たちが圧倒的に多く、以下、「中国にいる香港人」「香港にいる中国人」となって、「中国人」と思っている人は非常に少ない。

 昨年暮れに香港大学が実施した意識調査でも、自分を「中国人」と認識している人の割合がこの4年間で最低水準となった。「自分は『中国人』とは一線を画す『香港人』だ」と考える人が増えてきている。

 本来なら、そういった声を背景に、英国が「けしからん。条約違反だ」と強く言わなきゃいけないところだが、「私たちもEU(欧州連合)から脱退するかどうかで忙しいので」という状況。腰砕けになっている。これでは50年間は現状担保、と記した返還条約にサインした元盟主に何の期待もできない。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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