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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「春」》NYで消えゆく老舗

 ニューヨークのお土産は何がいいと思う? こう聞かれるといつも答えに困る。「何でも日本に売っているし、名産品があるわけでもないし…」。とりあえずチョコレートやワインなどを勧めてみるものの、相手が納得しているのかはよく分からない。

 そして、ニューヨークのお土産リストがまたひとつ消えた。マンハッタン中心部の五番街にある老舗デパートの旗艦店「ヘンリベンデル」が17日に閉店し、120年以上のブランドの歴史に幕を閉じたのだ。

 ヘンリベンデルといえば、白と茶色のストライプがトレードマーク。アラフォーの記者が10代のころは日本の女性ファッション誌でも化粧ポーチが紹介されて大流行した。20歳を過ぎてニューヨークに旅行したときには、わくわくしながら店を訪れたことをよく覚えている。

 ブランドの歴史に詳しいわけではなかったが、長年ニューヨーカーのおしゃれに欠かせない存在だったようだ。1895年に女性用の帽子屋として創業し、1913年に五番街の旗艦店がオープン。1960年代に米国で初めてシャネルを販売した店としても知られるという。ラルフローレンなど多くの米ブランドが60年代に誕生したことを思えば、ヘンリベンデルの歴史の長さは際立っている。

 1985年にランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」などを持つ「Lブランド」が買収し、自社商品を主力に販売することになったが、近年は業績の悪化が著しかった。

 あこがれだったヘンリベンデルが閉店することにショックを受け、ニュースになった昨年秋以降、何度か店に行ってみたが、買い物客の姿はまばら。雑貨は既視感のあるデザインも多く、その割に値段は高い。商品を置いているスペースは日増しに狭くなり、店員はおしゃべりに夢中…。若者向けの商品展開などで人気を取り戻した近くにあるティファニー本店の賑わいとは、雲泥の差だった。

 時を同じくして、1826年創業で米国最古の百貨店「ロード・アンド・テイラー」も1月2日に五番街にある旗艦店を閉めた。アマゾンなどのネット販売に押され、「小売業の危機」(米メディア)と片付けるのは簡単だろう。ただ、相次ぐ老舗閉店のニュースに、時代のニーズに合わせて刷新し進化することの大切さを改めて突きつけられた気もしている。

 散財家を自認する記者にとって、買い物はオンラインだけでは満足できない。店舗に入ったときに、商品の展示を目で楽しみ、手に取ったときに感じる“出会い”が醍醐味だ。冬のホリデーシーズンとともに老舗が去り、しんみりさせられたが、春に新たな五番街の顔が誕生するのを期待したい。(M)

 ニューヨークの町のこと、米国の社会問題なんでも取材中。

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。1月のお題は「春」です。