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【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】「孫子の兵法」実践の徹底した「事前調査」 (1/2ページ)

★交渉術の極意(7)

 交渉事は、勝負事である。負けるわけにはいかない。“勝率”の高さについて、約3000年前の中国の大戦略家、孫子が教えている。いわく、「彼を知り己を知れば、百戦して殆(あや)からず」。いわゆる、「孫子の兵法」である。

 「彼を知り」とは、「敵を知る」ということに他ならない。敵の軍力、思惑を知らず、むやみに突撃しても勝てるわけがないと教えている。そこで不可欠なのは、敵を知るための「事前調査」ということになる。

 それを徹底的に実践したのが、田中角栄ということであった。ために、田中の権力抗争は連戦連勝、政策的な内外の交渉事も押し切ることができたのである。

 こんな例がある。田中が政界に入る前、事業家として成功したツボを振り返って、こう語ったことがある。

 「商談に入る前に、相手を徹底的に調べた。オヤジは酒飲みだが、創業者として本当に汗水を流した。息子は才は欠けるが、人はいい。『よし、これならある程度、信用できるな』で交渉に入った。相手はそこまで知られているんじゃかなわんで、商談がまとまることが多かった。何事も、全力投球。相手に誠意も伝わるということだ」

 田中が政界入りした後も、大蔵省はじめ各省庁の役人の経歴を頭にたたき込み、これを縦横に生かして官僚機構を差配したことは、よく知られている。「事前調査」の賜(たまもの)である。

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