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【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】「どうだ、興銀で200億出さんか」 『山一危機』に2枚目カードの“裏芸” (2/2ページ)

 会議は難航をみせた。富士、三菱の2行は断固支援にノー、そこで田中はとりわけ親しかった興銀の中山に、こう話を振ったのだった。

 「どうだ、興銀で200億円出さんか」

 中山が答える。「そのくらい出せますよ。ただし、潰れそうな会社に200億円出すようなことになれば、次の日に私は頭取を辞めます。第一、そんなことをしたら、興銀の債権をどの銀行が買ってくれるのですか」。田中はここで、至極もっともの表情をつくった。

 ここが、2枚目のカードの胆であった。

 実は、先の中山への“振り”には裏があった。事前に田中と中山との間で打ち合わせ済みだったのである。田中としては興銀に明確にノーと言わせることで、結局は「日銀特融」しか道はないという結論に持っていくシナリオだったのだ。田中の「芸」は細かい。

 そして、「三善の策」、いよいよ詰めの3枚目のカードを切ることになるのである。(続く) =敬称略 

 (政治評論家・小林吉弥)

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