記事詳細

【勝負師たちの系譜】容易ではなかった「竜王戦」の創設…大山名人が反対 (1/2ページ)

★竜王戦(2)

 竜王戦は、名人戦と並び、一位の棋戦を作るということで発足した。しかしその成立までは容易ではなかった。

 将棋連盟側の大御所、大山康晴15世名人が反対したからである。

 大山は名人戦を主催していた、毎日新聞社の嘱託だったが、新聞社の代弁ではない。一人の棋士だけが潤う棋戦は作るべきではない、という持論があったからだ。

 私は将棋会館に住み込んでいた少年時代、大山が経理部で「とりあえず100万円ほど都合しといて」と言っていたのを聞いたことがある。当時はA級の月給(固定給)が10万円前後だったから驚いたが、それがどういうことか分からなかった。

 後で大山は、自分の優勝賞金をすぐにもらわず、連盟の運転資金に置いておいたことを知った。当時竜王戦のような大きな賞金の棋戦があれば、自分が独り占めだったということもあろうが、強い棋士ほど連盟全体のことを考えねば、という気持ちが反対させたのだと思う。

 しかし大型棋戦の発足が将棋界全体の発展につながるという、将棋連盟理事らの説得に納得し、承知したのだった。

 今期竜王戦は昨年と同じ、東京渋谷・セルリアンタワー内の能楽堂で始まった。

 昨年同様、対局は一部公開され、ファンの方用に特別観戦プログラムが売り出された。

関連ニュース