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【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】山一証券危機で繰り出した「3枚のカード」 (1/2ページ)

★交渉術の極意(3)

 商談など交渉事に勝利するための不可欠は、「カード」を何枚持って交渉に臨めるかにある。「これで行くのだ」と強気一辺倒で、1枚だけのカードで臨んだ場合、相手の思惑とのズレで、暗礁に乗り上げてしまうことが多々あることに他ならない。

 「カード」とは、もとより「策」である。「最善の策」「次善の策」「三善の策」まで用意、これを次々と畳み込めば、相手も「やむを得ない。これで手を打つか」となるケースが多いということである。

 田中角栄における、そうした水際立った「3枚のカード」手法は、昭和40(1965)年の大蔵大臣時代に急浮上した「山一証券」の倒産危機、伴っての救済措置の過程にみられる。

 このころの株式市場は、機関投資家の株保有が今ほどでなく、個人投資家が60%を超えていた。山一が倒産となれば、国民生活、景気に与える影響は計り知れないことが予測された。国としてリスクを負いながら、山一を救済するのか、それとも目をつぶって見放すのか、田中蔵相の決断いかんは、何とも重いものがあったのである。

 田中の最終的な落とし所は、日本銀行による山一への特別融資、すなわち「日銀特融」にあった。しかし、田中は、日銀が「山一のメーンバンクが救済するのが筋」とし、一企業への支援には抵抗を示していることを事前の情報収集で得ていた。

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