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【長谷川幸洋「ニュースの核心」】米中対立とダライ・ラマの訪日 (1/2ページ)

 米国と中国の「新冷戦」が一段と先鋭化している。パプアニューギニアの首都、ポートモレスビーで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)は米中が激突して、恒例の首脳宣言を採択できなかった。

 そんななか、インド亡命中のチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世が2年ぶりに来日し、国会内で講演した。今回の訪日と講演は、中国に対する日本の毅然(きぜん)とした姿勢を世界に示すうえで「絶妙のタイミング」だ。中国は「日本の抱き込みは無理」と悟っただろう。

 APECで対決したのは、マイク・ペンス米副大統領と、中国の習近平国家主席である。ペンス氏は、インド太平洋諸国に対する最大600億ドル(約6兆8000億円)の支援を表明するとともに、中国を念頭に「権威主義と攻撃的行動は、自由で開かれたインド太平洋地域で居場所がない」と厳しく批判した。

 これに対して、習氏も米国を念頭に「(巨大経済圏構想)『一帯一路』は、誰かがあれこれ言っているような罠(わな)ではない」と反論した。

 双方が激しい応酬を繰り広げたうえ、最終的に会議は不公正貿易慣行に対する世界貿易機関(WTO)の罰則強化をめぐって合意できず、首脳宣言の採択が見送られてしまった。中国と本気で対決する米国の覚悟を世界に見せつけた形だ。

 一部のマスコミは、「日本は米中対決の橋渡しを期待されている」などと解説しているが、ダライ・ラマの訪日は、そんな暢気な期待を打ち砕く。

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