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【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】不退転の決意と迫力の不可欠 「新幹線9000キロ構想」に断固反対の“親分”に最終決断迫り… (1/2ページ)

★交渉術の極意(1)

 商談などの交渉事で勝利、部下に「なるほど、凄腕の上司だ」と思わせるには、いくつかの条件がある。その一つが、必ず落とし所に着地させるのだという不退転の決意、エネルギーのほとばしりがあるかということだ。迫力ということでもある。

 好例は昭和44(1969)年春、田中角栄が3期目の幹事長のとき、佐藤栄作首相との間で、自らの「新幹線9000キロ構想」をめぐる激論に見ることができる。時に、佐藤は長期政権を邁進(まいしん)中で、自らの政権運営に自信満々だった。田中は佐藤派の幹部ではあったが、佐藤との関係は“親分・子分”に他ならない。

 田中はまず、15年間の総予算11兆3000億円、全国9000キロに及ぶ「新幹線鉄道整備計画要綱」をつくり上げた。これを持って官邸に乗り込み、構想に断固反対の親分に対し、眼光鋭く不退転の決意で最終決断を迫ったのだった。

 この際の、佐藤と田中のやり取りは、火の出るようなものだった。

 「君は新幹線にタヌキを乗せるつもりか。赤字は必至だ。どうするのか」

 「運輸省案には各省とも了承しています」

 「何言っている。政府はこのオレだッ」

 佐藤は運輸省の前身、鉄道省から政界入りした。運輸省の弱腰を嘆く一方、赤字路線への憂慮、田中がこうした政策推進を実現して、自分の足元をおびやかしかねないことを警戒しての反対であった。

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