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【大前研一 大前研一のニュース時評】メルケル氏引退も…EUが放っておかない (1/2ページ)

 ドイツのメルケル首相は先月29日、与党「キリスト教民主同盟」(CDU)の党首を辞任すると表明した。バイエルン州、ヘッセン州の州議会選挙で歴史的な惨敗を喫し、「起きたことや失敗の責任をとる」として12月の党大会で党首選での再選は目指さない。2021年秋の首相の任期満了まで務め、政界を引退する。

 メルケル首相は3年前にシリアなどから押し寄せる難民の受け入れを決め、100万人以上が入国した。これに反発する声が高まり、昨年の総選挙では第1党の座は維持したものの、難民排斥を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)の台頭を招いた。

 東ドイツ出身で、カールマルクス・ライプツィヒ大学(現ライプツィヒ大学)で物理学を専攻。かつロシア語も堪能で、プーチン大統領とも携帯電話で直接話をしていた。それを米国の国家安全保障局が盗聴していたことも発覚した。

 CDUの党首になって18年。首相を13年も務めてきた。世界の指導者の中で、ある意味、最も安定した政治家といっていい。ただ、3年後に首相を辞めると言っているが、求心力がさらに低下すれば、そこまでもたない可能性もある。

 1990年、東西に分裂していたドイツの再統一を成し遂げた西ドイツのコール首相(当時)は、若きメルケル氏を初当選議員ながら女性・青少年問題相に抜擢するなど非常にかわいがり、政治家としても育てていた。

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