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【米中熱戦と日本の針路】3原則を裏切り続ける中国に安倍首相が「強烈な皮肉」 (2/2ページ)

 ただ、禍根を残したのは「日中通貨交換(スワップ)協定」再開である。この協定は、尖閣諸島をめぐる日中関係悪化に伴い、2013年に効力を失っていた。今回の再開は、上限が3兆4000億円で、失効前の約10倍となっている。

 米国が高関税で、中国のドル獲得能力を強制的に削減しようとしているときに、多額の通貨スワップを提供することは、中国に助け舟を出すものだ。日本側が供給するのは円だが、円はすぐにドル転換できる。事実上、ドル不足に陥った中国を救済するものといえる。

 おそらく、安倍首相としては、自民党総裁「連続3選」に協力してくれた党内の親中派や、連立与党の公明党、親中勢力の強い財務省に促されて、協定再開を決定したのだろう。

 中国の対日ロビイングが成功したかたちだ。協定は再開されたが、実際に実行するかは、時の政権の判断に委ねられる。日米同盟に離反するようなかたちでのスワップの実行を、安倍政権は拒絶するものと期待したい。

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオなどで活躍する。著書に『国境ある経済の復活』(徳間書店)、『太平洋戦争の大嘘』(ダイレクト出版)など多数。

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