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【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】税制第1課長を救った「獣道」 本当に困った相手には敵味方問わず… (1/2ページ)

★「抜け道」伝授能力(3)

 部下、自分の親しい人間が行き詰まった。ニッチもサッチもいかず、もはやお手上げだ。それを見て何ができるか。田中角栄が打つ「抜け道」は、時にリスクも伴う「獣道(けものみち)」であった。

 「獣道」とは、山や森で、サルやシカ、イノシシなどの動物が通ることで、自然につけられた道だ。人が山や森で迷ったら、この道をたどっていけば命を落とさずに済む。動物たちは、この道をたどり餌を求めて人里に出てくるからである。

 この“手”で助けられた、のちに田中派幹部となる山下元利元衆院議員とのエピソードがある。

 昭和38(1963)年暮れ、当時、大蔵省主税局税制第1課長だった山下は、責任者として翌年度の所得税法改正案をまとめ上げた。これは閣議決定され、国会に提出された。ところが、何と根幹の税率表の数字が間違っていたのである。時に、田中は大蔵大臣であった。

 原因は、コンピューターの取り扱いミスだったが、野党に問題化されれば法案はすっ飛びかねない。同時に、責任問題に波及して、田中大臣のクビも飛びかねない。山下は体重90キロの巨体を丸めるようにして、辞任覚悟で大臣室の田中に頭を下げにいった。

 激しやすい性格からカミナリが落ちると思っていると、田中はむしろ、ほほ笑むように言ったのだった。

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