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【室谷克実 新・悪韓論】文氏の政策趣旨にも合致 「農業者手当よこせ」の危うさ (2/2ページ)

 そして、全羅南道の5つの自治体で準備が進み、全羅北道、忠清北道、江原道、慶尚北道などは20年までに導入する方策を推進中という。

 しかし、運動を進める農業団体幹部の話に、国家としての危うさを感じてしまう。

 「全羅南道15万の農家に毎月20万ウォンの手当を支援するのに3600億ウォン(=約358億6860万円)が必要だ。全羅南道の今年の本予算6兆7508億ウォン(=約6726億円)の2・6%水準であり、スマートファームのような企業型農業の支援に向けられる予算を節約すれば十分支援可能だ」と彼らは述べている。

 自治体予算の2・6%とは、とても重たいという認識はなさそうだ。

 したがって、近代化投資を削ってもバラマキをしろということなのだ。朴正煕(パク・チョンヒ)政権が進めた「セマウル(農村改善)運動」とは逆の発想だ。

 朴正煕もセマウル運動も、文政権の下では全否定すべき「積弊」になった。そして、現政権が進める「所得主導経済」政策とは、税金バラマキの裏に、近代化のために必要な支出の抑制がある。ならば、「農民にもバラマキを」の主張が出てくるのは当然だ。

 こうした動きの一方で、都市部でも雇用が減り、企業の設備投資額が6カ月連続して前年同期を下回っている。沈んでいく国の風景だ。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。著書・共著に『悪韓論』(新潮新書)、『崩韓論』(飛鳥新社)、『韓国リスク』(産経新聞出版)など多数。

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