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【部下がついてくる!「角栄流」上司の心得】「なぜ、税金のムダなのか」 田中角栄が『俯瞰的視線』で解決した本四架橋問題 (1/2ページ)

★「抜け道」伝授能力(2)

 田中角栄の発想には、常に物事を俯瞰(ふかん)的に見るということがあった。思い切って視野を広げてみるということである。

 例えば、議論が沸騰して行方が見えぬ場合、議論の軸からちょっと離れ、全体像をもう一度見直してみる。行き詰まった議論の突破口も見えてくることがあるのだ。

 この“手”で、田中はあらゆる難事を突破し、部下や周囲の信望を得た。長く永田町にあった「困ったときの角頼み」という言葉のゆえんだ。田中は与野党を問わず、頭を抱えてくる議員にはこうして知恵を授けたのである。田中の支持基盤の裾野が広がった要因の1つである。

 誰もが及びも付かなかった難事打開のエピソードを2つ挙げてみる。

 本州と四国を結ぶ道路は現在、明石海峡大橋を含む「神戸・鳴門ルート」と、瀬戸大橋の「児島・坂出ルート」、しまなみ海道と呼ばれる「尾道・今治ルート」による本州四国連絡橋(本四架橋)でつながっている。

 しかし、この完成までは国会論議の中で曲折が多かった。「3本の道路は税金の無駄遣い。1本でいいじゃないか」という反論による。

 首相退陣後だったが、田中は関係議員を集めてこう言ったのだった。

 「君たち、東海道には日本橋から京都まで何本の橋が架かっているか知っているのか。本州と四国を結ぶ道路は、その先、全国につながることになるんだ。なぜ、税金のムダなのか」

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