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【勝負師たちの系譜】豊島棋聖が「王位戦」タイトル獲得 「群雄割拠時代」は2カ月で終焉 (1/2ページ)

★王位戦(3)

 今期王位戦最終局は、9月26、27日、東京都千代田区の「都市センターホテル」で行われた。

 私は以前から、菅井竜也王位は他の棋士と感覚が少し違うような気がしていた。昨年の王位戦でも羽生善治現竜王が、良いところなく敗れたのと同じく、今期の七番勝負でもお互いの読みがすれ違うようで、最終盤でどちらが勝ちかわからないような局面はなく、優勢な側が一方的に勝つ将棋が多かったように思う。

 今期は第6局まですべて先手が勝ってきたから、最終局の振り駒が注目されたが、先手は挑戦者の豊島将之棋聖に決まった。

 将棋は相穴熊から角交換となり、後手の菅井が先に動いたが、豊島の反撃が厳しく、局面は豊島ペースで進んでいった。

 終盤、控室の検討陣は、まだ菅井が逆転できるかもという手を発見していたが、菅井はそれに気づかず、負けのコースに一直線に入って行った。

 終局直前、豊島はプロなら1秒でわかる詰みに時間をかけ、ゆっくりと水を飲んでからトドメを刺した。その間、菅井はせっかく奪取したタイトルを失うのを覚悟したかのようだった。

 プロ棋士が一番苦しいのは、どうやっても勝ちが出ない、逆転する順が発見できない時で、実際に投了する瞬間は負けを自分に言い聞かせているから、苦しさから解放されていることが多い。

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