記事詳細

【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「残」》だんじり通して感じた岸和田の人情 (1/2ページ)

 秋になると、大阪府南部の泉州地域では各地で祭りが開かれる。規模や形態はさまざまだが、とりわけ全国的に知られているのが、勇壮さで名高い岸和田市の「岸和田だんじり祭」だ。祭り当日は大人から子供までそろってだんじりを曳き、街全体が大いに盛り上がる。「岸和田はだんじりを中心に1年がまわる」などとささやかれるほど、市民にとってはなくてはならない祭りだ。

 ただ、今年のだんじり祭を取材してみると、近畿地方に上陸した台風21号の影響を少なからず受けていた。毎年設置されている有料観覧席は必要な資材が確保できなかったとして設置を中止。ふだんは祭りを訪れた人たちが立ち寄る岸和田城も、敷地内の松の木が倒れたため閉鎖されていた。

 そして、恒例行事となっていたパレードのハトの放鳥も中止に。強風でハト小屋が倒壊し、ハトが死んだり、逃げたりしたためだ。ただ、台風が過ぎてから数日後に約140羽いたハトのうち約50羽が戻ってきた。遠くへ飛んだハトが小屋に戻ってくるように、岸和田を巣立った子供たちにも、だんじりのときには帰ってほしい-。そんな願いを込められたハトたち。飼い主の西野清和さん(70)は「子供たちのためにも、またハトを飛ばしたい」。岸和田や地元の子供たちに対する愛情がひしひしと伝わってくる。

 住民同士のつながりの強い地域ほど、災害後の復旧は早いと聞いたことがある。台風21号の被災直後は、だんじりの曳き手を担う若者たちが率先してがれきを片付けた。若者たちは「だんじりで日ごろお世話になっている地域の人たちに恩返しをしたかった」と振り返る。煩わしいと思う人もいるかもしれないが、祭りを通じて培われた濃厚な人間関係は、この地域の財産だと思う。