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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】“アホウドリの天国”鳥島の噴火 被災の連絡なし…住民125人全員が犠牲に (2/2ページ)

 このアホウドリは羽毛を取るために犠牲になった。人間を恐れないことや、飛び立つのに助走が必要だったので、棍棒で簡単に殺された。人夫1人が1日に100~200羽を殺したという。英語名はアルバトロス。海上では優雅に飛ぶが、陸上では不器用なので不名誉な日本名が付いた。

 明治時代に、日本は羽毛を大量に輸出して外貨を稼いだ。アホウドリの羽毛は真っ白なので、水鳥の羽毛のなかでも高値で取り引きされたのだった。この「産業」で経営者は大もうけし、一時は鳥島に300人が住んで羽毛採取に従事していて、小学校もあった。

 こうして500万羽もいたアホウドリは、ほとんど絶滅してしまった。

 そこへ襲ったのが1902年の噴火だった。羽毛採取に従事していた当時の島民が全員、犠牲になったのだ。アホウドリの祟(たた)りだという話もあった。

 鳥島は1902年の大噴火のほかにも、1871年、1939年、1998年、2002年に噴火した。記録はないが、もっと前にも噴火していた可能性が強い。

 1902年の噴火のあとに商業的な羽毛採取が止められ、戦時中は海軍のレーダー基地が置かれ、戦後は台風観測の前進基地として中央気象台(現在の気象庁)の鳥島測候所が置かれた。

 だが65年になって地震が頻発したので気象庁の観測所は撤退して、以後、島は無人になった。

 いまは島全体が国立公園になっていて立入禁止だ。アホウドリも国際保護鳥となっていて採取が禁じられている。

 81年から環境庁(現環境省)がアホウドリの生息状況調査と繁殖地の維持や保全を行っている。現在では約200つがいに増えた。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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