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【有本香の以毒制毒】トランプ氏が「ウイグル問題」を対中最強カードに 貿易戦争と「合わせ技」 (2/2ページ)

 演説が「信教の自由」をテーマとした会合でのものだったが、ペンス氏も、クルーズ氏と同様にキリスト教色の強い保守的な政治家である。そのペンス氏らが、中国政府が「テロ対策」を口実にウイグル人を弾圧し、大半がイスラム教徒である彼、彼女らの信仰を抑圧していることを激しく批判したのだ。

 ブッシュ政権時代、「テロとの戦い」をうたってアフガニスタンやイラクに攻撃を開始した際、米国は、中国に戦線を邪魔させないための取引として、北京の言いなりにウイグル人活動家を「テロリスト」と認定した。その象徴的な1人がドルクン氏であり、そのため、彼は15年まで米国入国を許されなかった。

 今回の打って変わった米政界のドルクン氏厚遇。その裏にあるのは、やはり北京との取引だ。かつて北京との宥和のために使ったウイグル問題を、今回は「貿易戦争」との合わせ技で北京を締め上げる最強カードとして切っている。

 ドルクン氏は「それでもいい」と言う。何であれ、ウイグル問題を米国のトップレベル、しかもキリスト教色の強いリーダーらがはっきりと口にして中国政府を批判し、その様子を世界が見てくれる。これは大きな成果だと力説する。他の在米ウイグル人は「何もしてくれなかったオバマ政権よりいい」とつぶやく。

 思い返せば、日本人拉致問題にも今のところ、前政権よりドナルド・トランプ大統領は親身だ。「人権派」という、メディアが貼る空疎なラベルより、人権弾圧に真に苦しむ被害者の声にこそ真実はあるのではないか。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)、『「小池劇場」の真実 』(幻冬舎文庫)など多数。

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