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【激変する安全保障】米朝会談で消えた「最大限の圧力」 中朝ロの思うつぼ、火消しにやっきの日米 (1/2ページ)

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 米朝首脳会談は重要な表現を2つ奪った。1つは、前回連載で指摘した「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」。もう1つが「最大限の圧力」である。

 単に、そうした表現を使わないというだけなら理解できる。言葉に出さずとも、無言で圧力をかければ済むからだ。

 しかし、今回は違う。ドナルド・トランプ米大統領は、米朝首脳会談後の会見で、「北朝鮮との交渉がうまくいけば、米韓合同軍事演習を中止する」と明言した。

 これで名実とも「最大限の圧力」は消えた。実際、米韓両政府は19日、8月に予定していた定例の米韓合同指揮所演習(図上演習)「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」の中止で合意したと発表した。

 米韓合同演習は「地域の平和と安定を確保する重要な柱」(防衛省)である。その柱がなくなれば「圧力」は下がる。

 米韓演習を凍結し、北朝鮮も核・ミサイルによる挑発を凍結する。結果的に、中国とロシアが主張してきた「二重凍結」が実現した格好だ。

 これでは「中朝ロの思うつぼ」ではないか。

 日米両政府とも「単なる図上演習であり、中止の実害はない」と火消しにやっきだが、作戦司令部の動きは図上演習でも実動演習でも同じだ。中止の実害は避けられない。