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【大前研一 大前研一のニュース時評】トランプ氏の「勘違い」が招いた米中貿易戦争 このままでは中国の次に日本に牙をむけるかも (2/2ページ)

 本来なら、中国の通信機器メーカーのファーウェイ・テクノロジーズなどは、携帯電話の基地局やルーターを米国に売り込みたいところだが、創業者のレン・ツェンフェイ氏がかつて人民解放軍に所属していたということもあって、米国は安全を口実に米国市場への参入を妨げている。

 また、ファーウェイ社のチップを使っているということで、携帯電話大手のシャオミ(小米)も米国に入れない。

 米国の輸入超過の30兆円強のうちの5兆円は、実は鴻海に成都で委託製造してもらっているアップルのiPhoneだ。つまり、ヒューレット・パッカードのPCやプリンターなどのように、米国企業が安い人件費の中国で作らせて輸入しているものばかりなのだ。さらには、スーパーマーケットチェーンのウォルマートなどもバイヤーを香港などに置いて買いまくっている。

 米国企業が中国で作らせていた品目が25%高くなり、中国はトランプ支持の農民をたたこうとしている。トランプ氏の勘違いから、こういうバカげたことが始まっているわけで、そのことに気づかせるためには、今回の中国の作戦は効果的かもしれない。トランプ氏は「全部終わってみたら、米国はより強い国になっている」と語っているが、合理的な理屈は何もない。

 いずれにしても、レベルが低くて話にならない。トランプ氏にはもう少し勉強してもらう必要がある。このままでは、中国の次に日本に牙を向けるかもしれない。しかし、20年間にわたる日米貿易戦争で解決済みの問題をいまさら蒸し返されてもお互いに得なことは何もない。日本はアメリカで十分生産し、雇用も生み出している。3度目のゴルフ会談ではそのへんを安倍晋三首相に説得してもらいたいものだ。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。