記事詳細

【高橋洋一 日本の解き方】正恩氏と習氏「非核化」の罠 在韓米軍の撤退絡むクセ球、日本も対岸の火事ではない (1/2ページ)

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が中国を電撃訪問するなど、最近の極東アジア情勢はめまぐるしく変化している。中国が存在感を示そうとする様子もうかがえるが、これが日米の動向にどのような影響を与えるだろうか。

 中朝首脳会談は、中国と北朝鮮の双方の思惑が合致して行われた。中国は、朝鮮半島問題で存在感が低下していた。中国はこれまで、国際社会から北朝鮮に対する圧力を弱めることばかりやってきた。北朝鮮は核・ミサイル開発を諦めず、中国の影響力の低下は誰の目にも明らかだった。

 それが、今回の中朝首脳会談で事実上、北朝鮮が頭を下げて支援を求めてきたので、中国としては面目躍如、してやったりだろう。

 北朝鮮としても、後ろ盾のないまま米朝首脳会談に臨んで、もしトランプ大統領が席を蹴ったら、直ちに米国からの攻撃を受けて国家が潰されかねない危機になる。中国との連携を米国に見せることで、首脳会談で米国の圧力に屈せずに済むという「保険」を中国に引き受けてもらった格好である。

 中朝は「多段階の朝鮮半島の非核化」という点で一致している。「多段階」とは時間をかけるという意味で、任期がなく「皇帝化」している金正恩氏や習近平国家主席にとって好ましい戦略である。しかも「朝鮮半島の」という意味は、北朝鮮のみならず、在韓米軍が韓国から撤退することも含まれている。

 中国にとって朝鮮半島に米国が進出してくることは死活問題だ。もし北朝鮮が潰され、米国主導で南北朝鮮の統一が実現したら、朝鮮半島は米国支配下となって、中国と国境を接することになる。中国としては決して許すことのできない事態だ。