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【大前研一 大前研一のニュース時評】罪重い“ながらスマホ”事故 現行の法律に疑問の声も (1/2ページ)

 昨年11月、滋賀県の名神高速道路で大型トラックの50歳の運転手がスマートフォンを操作しながら運転し、車列に追突して1人が死亡、4人がけがを負った事故があった。過失運転致死傷罪に問われた元運転手に対し、大津地裁は19日、禁錮2年の求刑を上回る禁錮2年8月を言い渡した。今井輝幸裁判官は「求刑は、ながらスマホの危険性を過小評価している。ハンドルを握るすべての人が注意し、スマホのながら運転を根絶しなければならない」と指摘した。この判決は極めて重要だと思う。

 「携帯電話使用による交通事故発生状況」の統計では、通話している間というのは少なく、画像を見ているときが圧倒的に多い。元運転手もスマホで地図アプリを操作し、前方の注視を怠ったまま時速約80キロで200メートル走行して追突した。

 裁判官の本来の職務は法に基づいて判決を下すことだが、求刑より重い刑になったのは行き過ぎた解釈かもしれない。しかし、この判決に限っていえば、私は賛成だ。

 この裁判官は運転中のスマホ操作の事故に関し、携帯電話が普及する前の「わき見運転」を前提にしてはいけないと考えている。私もこの問題はもっと真剣に考えないといけないと思う。

 GPS(全地球測位システム)を利用するカーナビは、運転中には入力できないようになっている。ところが、携帯電話のGPSはWazeなどごく一部のアプリを除いて運転中でも利用できる。運転中はこれを使えないようにしてもいいのではないか。

 スマホの交通事故というと、昨年12月、川崎市で左手にスマホ、右手に飲み物を持ち、耳にイヤホンをしたまま電動アシスト自転車に乗っていた20歳の女子学生が77歳の女性と衝突して死亡させ、重過失致死罪でこの2月に書類送検された。殺人を犯してこの罪というのは軽過ぎると思われることから、現行の法律について疑問の声も挙がっている。

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