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習近平氏、不気味な“沈黙”の思惑 終身独裁狙うも実際は内憂外患、国家分裂の危機 (3/3ページ)

 中国は長さ約1400キロという中朝国境に、数千人から数万人とされる人民解放軍を配備した。だが、いざ戦闘状態に突入すれば、朝鮮族の多い北部戦区(旧瀋陽軍区)の部隊が、どこに銃口を向けるか分からない。

 習氏は、その際のロシアの動向も懸念している。

 4年前のソチ冬季五輪直後、クリミア半島を電撃的に併合したプーチン氏は「ハイブリッド戦争」(=軍事・非軍事の掛け合わせ)を得意とし、正恩氏とは良好な関係を築いている。

 朝鮮有事に乗じて、大量の北朝鮮難民を中国東北三省(遼寧省、吉林省、黒竜江省)に送り込み、“緩衝ベルト”にして極東シベリアとつなぐ、世界地図の塗り替えを画策しているフシがあるのだ。すなわち、習氏が掌握しきれていない旧満洲の地が無政府状態となり、国家分裂の危機に陥りかねない。

 プーチン氏は、埠頭(ふとう)1つを租借した北朝鮮の羅津(ラジン)港だけでなく、韓国の釜山港をも租借地にしたいと考え、「北朝鮮主導の朝鮮統一」にも力を貸すはずだ。

 これらが現実となれば、中国だけでなく、日本の安全保障にも甚大な影響が出かねない。

 “同床異夢”の米中露の勝者は誰なのか?

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(産経新聞出版)、『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)、『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『中国・中国人の品性』(ワック)など。

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