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【高橋洋一 日本の解き方】裁量労働制拡大への不安、労使合意など厳格な要件と良好な雇用環境なら杞憂だ (1/2ページ)

 働き方改革の関連法案をめぐり、裁量労働制の効果を強調する安倍晋三首相の国会答弁が撤回された。

 裁量労働制とは、労働基準法の定める「みなし労働時間制」の一形態だ。この制度の下では、実際の労働時間とは関係なく、一定時間働いたとみなされる。適用業務の範囲は厚生労働省が定めた「専門業務型」と「企画業務型」に限定されており、導入は、労使双方の合意が必要になっている。

 対象となる業務の人は、専門業務型として、研究開発者などの19業種が具体的に挙げられている。企画業務型としては、企画、立案、調査および分析を行う職員を対象としている。

 国会での首相答弁は「裁量労働制で働く方の労働時間は、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」というものだったが、その根拠の調査は、実際の労働時間に関するものではなかった。事務方の厚労省官僚の大ミスであり、弁解の余地はない。

 一部の労働関係者が問題にしているのは、裁量労働の対象が拡大される恐れがあるということだ。裁量労働のうち専門業務は対象が明確であり、筆者もその対象になっているが、もともと労働時間と成果は直結していないので、問題ないだろう。

 しかし、企画業務型で普通の営業職までも対象となり、残業代が頭打ちになることが問題視されているのだ。厚労省の法理案要綱では、企画業務型の対象業務に「課題解決型の開発提案業務」と「裁量的にPDCA(計画、実行、評価、改善)を回す業務」を追加するとされていることが、不安の根拠となっている。

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