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【高橋洋一 日本の解き方】研究費不足に悩む大学関係者が「教育国債」を否定する不可解、財務省への忖度か知的退廃か (2/2ページ)

 こうした研究の特質を考えると、国の研究開発の費用は、投資案件の資金調達と同じく「国債」によるべきだ。便益が大きく、その効果が長期に及び、十分な資金確保が必要なので、税財源に依存するのは適当ではない。

 実は、この考え方は、もともと財務省にあったものだ。財務官僚が書いた財政法のコンメンタール(逐条解説書)『予算と財政法』にも書かれている。

 しかし、今の財務省はこの教育国債を決して認めない。筆者が昨年5月に自民党本部で教育国債について説明すると、同じタイミングで財政審議会を開いて教育国債を否定し、マスコミにそれを報じさせるという具合だ。

 ネットでも教育国債の批判ばかりが目立つ印象である。書いている人はほとんど財務省の応援者ばかりだ。本来恩恵を受けるはずの大学関係者からも、教育国債を支持する声は聞こえてこない。大学関係者の中には、役所の審議会委員も多くいるので、財務省への「忖度」があるのかもしれない。

 社会的に有用な投資で、波及効果が長期に及ぶものについて、長期債で賄うのは、ファイナンス理論の基本中の基本である。それなのに、大学関係者という最高の知識人が、1000兆円の借金が問題であると言い、バランスシート(貸借対照表)の片方だけの素人議論になるのは筆者として釈然としない。それこそ、日本の大学関係者の知的退廃ではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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