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【高橋洋一 日本の解き方】再燃した財政再建巡る論争 金利の動向修正した背景は12年前の欠陥の「正常化」だ (1/2ページ)

 内閣府の財政に関する試算が、財政健全化から遠ざかっていると批判されている。

 その背景には、昨年の総選挙がある。2019年10月の消費増税の方針は固まったが、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を20年度に黒字化する目標は先送りとされているのだ。今年6月に予定されている「経済財政運営と改革の基本方針2018」(いわゆる骨太の方針)で、新たなPB黒字化の達成時期が示される。その攻防が始まっているのだ。

 1月5日の閣議後の記者会見で、茂木敏充経済財政・再生相が中長期の経済財政試算に関して「金利の動向などをより現実的に修正する」と述べた。これは金利の見通しを大きく引き下げるもので、財政再建の先送りだと報じられた。

 こうした批判は、これまでの試算で、金利の見通しが正しいという前提によるものだ。しかし、筆者は06年ごろ、総務大臣補佐官として内閣府の中長期の経済財政試算について異論を唱えたことがある。その経験から、金利が正しいという前提が間違いであり、今回の金利の修正は、より正しい方向での「正常化」であると考えている。その理由を示そう。

 ちょっと昔の話に詳しい人がいれば、当時、経済財政諮問会議で「金利・成長率論争」が行われたことを覚えているだろう。「金利が成長率を上回る」との主張と、「金利と成長率の大小関係は一概に言えない」という主張の間の論争だ。前者は吉川洋・東大大学院教授(当時)と財務省、後者は竹中平蔵総務相(同)と筆者がそれぞれ主張した。

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