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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「春」》ひとり親家庭の15の春、18の春を笑顔に (1/2ページ)

 志望校に合格し、笑顔で“春”を迎えるために、今まさに受験勉強を頑張っている中高生が全国にたくさんいると思う。そんな中高生、特にひとり親家庭で育つ子供たちを主に応援している学習塾が大阪府箕面市にある。代表の渡剛さん(28)から年末、メールが来た。

 「ひとり親家庭の子どもに学習機会を届けるクラウドファンディングを行います」

 渡さん自身、父親のいない家庭で育った当事者だ。参考書を買いたくても、苦労をしている母親には言えなかったという。塾にも行けなかった。母親に申し訳ないと感じながら、我慢するのも嫌で、家族を恨む気持ちも芽生えたと以前、聞いた。

 高校時代には兄の借金トラブルで家庭が困窮し、大学進学をあきらめたという。高校3年の秋、父親が亡くなって遺産が入ったことで再び進学を決意し、大阪大学へ。「子供がどれだけ頑張ったとしても、自分の努力だけでは越えられない壁がある」。自分と同じ境遇の子供のために何かしたいと、平成22年に「渡塾」を始めたのだ。

 私が渡さんに初めて会ったのは27年、彼が登壇していた、ひとり親家庭についての講演会。その後、ひとり親家庭をテーマにした連載を書くため、あらためて取材を申し込んだ。

 渡塾に通う子供たちにも話を聞いて意外だったのは、「お金は減ったかもしれないけど、家も狭くて古いけど、ちゃんと幸せがある。貧乏だけじゃないことを知ってほしい」という男子高校生の訴えだった。

 マスコミに取り上げられるひとり親家庭は、かなり悲惨な例が多い。歯医者に行けず、虫歯で口のなかはボロボロとか、暴力をふるう父親から逃れるために無戸籍となり、学校にも通えないとか…。確かにそんな子もいる。でもその高校生は、ひとり親家庭がそんなイメージばかりで語られるのは嫌だと言った。周囲の子よりも小遣いは少ない。でも、「お金は少なくても、父親がいたときよりものびのびしている」と屈託なく笑った。彼はその後、渡塾の奨学金を受けて勉強を続け、志望する大学に見事、進学したという。

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