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働く高齢者から収奪した在職老齢年金1兆円が政府の埋蔵金に (2/4ページ)

 「消えた年金」問題を受けて設立された政府の年金記録回復委員会(*注)の委員を務めた社会保険労務士・稲毛由佳氏が指摘する。

 【*注/2007年に発覚した年金記録の喪失問題を受け、年金記録の正常化に関する実態解明のために厚労省に設置された委員会】

 ◆新・消えた年金

 「たしかに年次報告書でもデータを見たことはありませんが、在職老齢年金の支給停止額は年金財政上重要な指標で、相当な金額にのぼるはずです。公表しないのは問題が大きい」

 そこで、稲毛氏に在職老齢年金で支給停止されている年金の規模を推算してもらった。

 「月給が25万円、ひと月あたりの年金の10万円だとすると、在職老齢年金は1人あたり毎月3万5000円を減額される計算になります。60~64歳の厚生年金被保険者が125万人います。仮に、そのうちの8割の100万人が、このような給料、年金水準だとすれば、全体で月350億円、年間4200億円分が支給停止されていることになる。60歳の定年後も現役並みの給料をもらっている人はたくさんいますし、65歳以上で減額対象になっている人もいますので、金額はもっと増えると考えられます」(稲毛氏)

 少なく見積もっても年金減額は4000億円以上。そんな巨額な特別利益がありながら、決算報告書にも統計にも記載されていないのは重大な問題ではないか。そもそも、厚労省が在職老齢年金の正確な数字を持っていないのはどう考えても不自然だ。

 年金の受給システムは国民が受給手続き(裁定請求)を行なった時点で毎月の年金額(裁定額)が決まり、在職中の人は給料に応じて年金が減額されて振り込まれる。厚労省(日本年金機構)の年金コンピュータには一人一人の裁定額と実際の支給額が記録されている。それこそワンクリックで支給カットの総額も人数も計算できるはずだ。

NEWSポストセブン
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