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治安当局が“ビジネス”で同性愛者を大量迫害で波紋 支援団体幹部「すべて事実」 露チェチェン

 ロシア南部チェチェン共和国で治安当局が大量の同性愛者を拘束し、金品などを目的に組織的に拷問していた事実が明るみに出て波紋を広げている。彼らの国外脱出を支援する同性愛者団体「露LGBTネットワーク」(本部・サンクトペテルブルク)のイーゴリ・コチェトコフ理事(47)は産経新聞とのインタビューで、報道された実態は「すべて事実」と言い切った。(サンクトペテルブルク 黒川信雄)

 一連の問題は4月、露リベラル紙ノーバヤ・ガゼータが報じた。チェチェンの治安当局が100人以上の男性同性愛者を拘束し、秘密裏に設置した監獄で拘留。殴打や電気ショックなどの拷問を行い、巨額の金銭支払いや他の同性愛者の情報提供を求めたといい、死者も出た。被害者は、警察が「ビジネスとして行っていた」と証言している。

 同紙と実態調査を進めたコチェトコフ氏は、背景にチェチェンの「絶対的な政治体制」があったと語る。

 チェチェンは露中央政府との2度の紛争を経て、現在は中央政府側に寝返った元独立派ゲリラのカディロフ首長が国を統率。チェチェンの統治が最重要課題のひとつであるプーチン政権は、たとえ中央政府の方針に則していなくても同氏の強権的な政策を黙認することが大半で、コチェトコフ氏は今回の事態も、カディロフ氏の意向を背景に起きた可能性を示唆する。

 チェチェンはイスラム教の保守的な風土で知られ、同性愛への強い敵視につながっているとの見方もある。ただコチェトコフ氏は、イスラム教徒が主体の他の共和国でもこれほどの問題は起きていないとし、イスラム教は「要因ではない」との見方を示す。

 同ネットワークはチェチェンの同性愛者をロシア国外に脱出させる支援を展開中。約50人をチェチェン域外、10人を露国外に脱出させた。国外にこだわるのはチェチェンから出ても「他の都市で発見された」事例があるからだ。ただ欧州連合(EU)諸国などは査証(ビザ)発給に慎重だ。チェチェン出身者が海外で過激組織に加わる事例もあり、事態を困難にしている。

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