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【ドクター和のニッポン臨終図巻】演出家・鴨下信一さん 教訓にしたい「戦後は不公平」との言葉 「ふぞろいの林檎たち」など手掛けた名作ドラマ多数 (1/2ページ)

 モノクロの東京の街を背景に、林檎を放り投げる手と手。そこに流れるのは、サザンオールスターズの『いとしのエリー』。『ふぞろいの林檎たち』が始まったのは1983年のこと。架空の四流大学を舞台に、恋愛も就職もうまくいかない若者達を描いたこのドラマに、いつしか自分を重ね合わせていました。

 この作品を始め、『岸辺のアルバム』や『高校教師』など数々の名作ドラマを手掛けた名プロデューサーで演出家の鴨下信一さんが、2月10日に都内の病院で亡くなりました。享年85。死因は肺炎との発表です。

 肺炎は、2016年まで、日本人の死因の第3位でした(1位はがん、2位は心臓疾患)。ところが現在、3位が老衰で、4位が脳血管疾患。肺炎は5位までランクダウン。肺炎が減っているのか? いいえ、そうではありません。実は17年から厚生労働省は「肺炎」と「誤嚥性肺炎」を区別して死因調査をするようになったのです。このため、一見すると「肺炎」で死んだ人が減ったように見えるのです。また、誤嚥性肺炎があっても、「老衰」と死亡診断書に書く医師がようやく増えてきたという背景もあるのでしょうか。

 高齢になればなるほど誤嚥性肺炎の割合は増えます。70歳以上の肺炎の7割が誤嚥性というデータもあります。つまり、誤嚥性肺炎とは長寿の証し。僕も、「死亡診断書は肺炎と書きますか? それとも老衰にしますか?」とご家族に訊くことも。「では老衰でお願いします」と仰るご家族が最近増えました。

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