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【長田昭二 ブラックジャックを探せ】子宮がん、1日80回「糸結び」で鍛錬 倉敷成人病センター理事長・安藤正明さん

 日本を代表する子宮がん治療の名手が、岡山県倉敷市にいる。倉敷成人病センター理事長の安藤正明医師は、子宮がんや良性疾患に対する腹腔鏡手術で、国内トップクラスの症例数を誇る婦人腫瘍科医だ。

 東京でも大阪でもなく、倉敷という人口背景としては不利な地方都市で、全国から患者を集める。安藤医師は言う。

 「手術は“数”ではなく“質”にこだわるべき。質を高く維持すれば、患者さんは新幹線に乗ってでも来てくれる。その期待に応えようと、こちらもまた努力する。そんな相乗効果を大切にしたい」

 自らに課している日課がある。腹腔鏡のトレーニングマシンで行う1日80回の「糸結び」だ。

 「野球選手が毎日素振りをしないと調子が落ちてしまうのと同じで、私たちは毎日鉗子(かんし)の先で糸を縛る感覚を体に覚えさせておく必要がある。だから毎日やらなければ意味がない。正月休みも毎日やります。ちょっと意地になっている側面はありますが」

 ちなみに、1997年、他に先駆けて子宮がんの腹腔鏡手術を始めた当時、安藤医師は「婦人科界のイチロー」と評された。子宮疾患に対するロボット手術の執刀数で全国一の安藤医師は、近年後進の指導にも力を入れる。

 「指導の基準は他とは比較にならない厳しさですが、“技術を身に付けたい”と考えて倉敷まで修練に来る医師たちは意識も高い。ここで一人前になったら、どこに行っても安心して任せられる婦人科医になっています」

 2018年には子宮体がんに対するロボット手術が健康保険で承認されるなど、婦人科領域の手術は進化が著しい。同院でも来年には「ロボット内視鏡手術センター」の開設を予定するなど、安藤医師への期待はなお一層の高まりを見せている。(長田昭二)

 ■安藤正明(あんどう・まさあき) 1954年、島根県生まれ。80年、自治医科大学卒業。岡山赤十字病院で研修を経て、85年、岡山大学病院産婦人科入局。86年、倉敷成人病センター産婦人科入局。2001年、同部長。02年、独フリードリッヒ・シラー大学留学。09年、倉敷成人病センター副院長。その後、同理事、院長を経て、19年、理事長。現在同内視鏡センター長を兼任。医学博士。趣味はギター。

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