記事詳細

【ドクター和のニッポン臨終図巻】相談者300万人以上の町医者的存在 栗原すみ子さん(新宿の母) (1/2ページ)

 謹賀新年。今年も正月から、お看取りが続いています。人の生死には、盆も正月もありません。そして、病院から退院してくる患者さんが増える年末年始は実は在宅医が一番忙しくなる時期です。

 訪問先の各御家庭で、今年の運勢について話題が出ます。余命3カ月くらいかな…という患者さんが雑誌を読んで、「ワシは今年の10月から運が急上昇するらしいで」とにこやかになる。こちらも、「ほな秋まで頑張らんとあかんね」と嬉しくなります。なんやかんや日本人の多くは占いが好きです。その象徴的存在だったのが、新宿の母でした。本名・栗原すみ子さん。昨年12月19日に都内の病院で亡くなりました。享年89。死因は誤嚥性肺炎との発表です。

 人類は声を出して会話をする、大きな声で歌うといった他の動物にはない術を得たことと引き換えに、口の中や喉の空間が広くなりました。その代償として唾液や食物が気管に流れ込みやすくなります。そして老化とともに、気管に流れ込んだ異物が痰になり咳によって喀出する力が弱まり、肺に炎症が起きてしまいます。

 誤嚥性肺炎は食事中に起こるものと思われがちですが、高齢者の場合、夜間睡眠中に多くの雑菌を含む唾液が気管に垂れ落ちて肺炎に至るケースが多く、老化に伴う生理現象という側面もあります。

 よく介護施設で誤嚥を怖がってドロドロのミキサー食を無理やりスプーンで口につっこむようにして食べさせている姿を目撃しますが、「もっと美味しいものを手づかみでもいいから自力で食べさせてあげてよ…」と思ってしまいます。

関連ニュース