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【松浦達也 肉道場入門!】下町・曳舟で出会った「湖南料理」の名店 「飲茶料理 飛輝」 (2/2ページ)

 肉を練って腸に詰め、燻製にかける。それもじっくり乾かしながら一週間かけて一体感ある味を醸成させていく。

 燻製に使う素材もサクラやブナなどのありきたりの材ではない。みかんやレモンといった柑橘系の果物の皮を使い、香りに爽快な奥行きを加える。

 薄くスライスされて客前に提供された腸詰は、ほのかに老酒の香る、やさしく深い味わい。メニューにはない湖南料理を勧められるがままに注文する。湖南直送の唐辛子は火を噴く辛さでビールも中国酒も進む進む。

 ふと傍らに目を向けると、隣の卓上には休憩時間に包んだと思しき「花焼売」がぎっしり並べられている。

 ここにはどこか懐かしく、しかしどこにもない味がある。これだから下町の路地裏歩きはやめられない。

 ■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しく、専門誌での執筆やテレビなどで活躍。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。

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