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【日本の元気 山根一眞】キログラム新定義に貢献! 空前絶後の「シリコン球」 (1/2ページ)

 2019年5月20日をもって、キログラムという質量(重さ)の定義が130年ぶりに変わった。

 1キログラム3万4000円の松阪牛肉を売る店に2つのハカリがあり、それぞれの「1キログラムの定義」に違いがあれば、同じ価格なのにある人は900グラム、別の人は1200グラムと損得差が出てしまう。

 極端なたとえだが、こういうことがないよう130年前に「これが1キログラム」という世界共通の質量の基準となる「キログラム原器」が作られた。これをもとに世界各国は不変の「1キログラム」を維持、それによって経済も科学も成り立ってきたのだ。

 「キログラム原器」は、さびたりホコリが付着して質量に増減が出ないよう厳重に管理され10万年間は不変のはずだったが、何と、およそ1億分の5キログラムの変化が起こっていた。それは指紋一つの皮脂量程度なので松阪牛販売では影響がないが、超微小世界を扱う科学技術の世界では「そりゃ、まずいぞ」という誤差の大きさなのである。

 たとえば原子(水素)1個の質量は0・0000000000000000000000000017キログラムだが、先端科学技術分野では原子1個を操作するものつくりすら可能な時代を迎えている。その質量基準にばらつきがあれば、これからの科学技術は成り立たなくなる。

 そこで、「キログラム原器」という「物」を質量の基準にするのはよろしくないぞと、30年前に具体的なプロジェクトが発足。それは「物」ではなく「物理法則」をいわば原器とする方法だ。物理法則とは何か? 長さの基準は「メートル原器」という「物」が基準だったが、今は、光が2億9979万2458分の1秒間に進む距離を1メートルと「物理法則」で定義している。度量衡の基準ではキログラムだけが「物」頼りだったのだ。

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