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【ぴいぷる】茂木健一郎「脳科学者が小説を書いたって“ええじゃないか”」 でも…どうしたら売れるんでしょう? (1/3ページ)

 ご存じ、日本一有名な脳科学者。専門の著書も多いが、最近は小説も執筆領域のひとつ。

 「どうしたら小説は売れるんでしょうね」と先生、少々弱気だ。

 2015年の『東京藝大物語』(講談社)に続く近著は『ペンチメント』(同)。表題作の「ペンチメント」と「フレンチ・イグジット」の2作を所収している。

 ■ペンチメントとは人生描き直し

 ペンチメントとは、美術用語で描かれた絵の下の下絵や修正前の絵が見えること。

 「以前から絵画の下にもう1つの絵があることが気になっていたのですが、ペンチメントという用語があることをちゃんと認識したのは3年ぐらい前です。(直訳の)意味は“後悔”で、忘れていた昔の自分とか、あのときこうしていればよかったとか…ということをテーマに書きたかったんですね」

 不意に思い出す人生の分岐点。誰しもあるはずだ。

 「おそらくペンチメントを抱えていない人って世の中にいないんじゃないかなあ。僕は脳科学、認知科学を研究しているので、後悔とか人生描き直しを通してどう人間に迫れるか。そうしたことを小説で書くとこうなる、そういう試みなんです」

 物語の主人公は女子大生。アルバイトで小さな洋食屋を手伝うが、美大出身という初老の店主が描いた絵からペンチメントについて彼女なりの思考を深めていく。

 一方、フレンチ・イグジットとは、パーティーなどで別れを告げずにその場を去ること。

 「さよならを言わないで去っていくというのが基本的なモチーフです。人生で残酷なのは、共通の知人の話題になって『あいつ最近見ないな』なんて話していたら、『2年前に死んでいたんだって』と悲しい消息を知らされる。それがフレンチ・イグジット。また、若いときに夢をもっていたのに、年を重ねるうちにいつの間にかそういう自分が去っていくみたいなことってあるでしょう」

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