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【ぴいぷる】平成の浮世絵師・東學さん 和紙、女体、寺院…ほとばしる制作欲「北斎のようになれたらええな」 (1/3ページ)

 天女と無数の蝶が蓮の上を舞う。蓮の隙間には、魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうごめく。葉から上は極楽、下は地獄。横幅がふすま8枚分ほどある巨大な墨画『天獄[貮]』(2017年)。モノクロームの創造物だが、この人の手にかかると、今にも動き出しそうな生命力をはらむから不思議だ。

 「美しいものと美しくないものを描いて、光あるところに影があるという世界を表現してるんです」

 平成の浮世絵師は淡々とこう語る。

 15年の作品『天獄』では戦争、原爆、テロ、人種差別、天変地異など善悪や生き死にをこれでもかというほど詰め込んだ。壮大な絵巻はまるで墨画版「ゲルニカ」。こんな怖ろしい絵を描くのは、なぜ?

 「ふだんは、めちゃ陽気なタイプやから、危ないものを描いてバランスを保ってるんやと思う。心の暗い部分を絵に吐き出しとるんです」

 一般的な水墨画で使われるぼかしの手法は使わず、極細の面相筆(めんそうふで)で線を引く。こだわるのは女の髪。「髪の毛フェチ」というほど1本1本丁寧に、特に濡れて肌に張りついた髪を描写するのが好きだ。

 「上から塗り直しがきくアクリル画などとは違って、墨は線を失敗したら一からやり直し。その緊張感がええんです」

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