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【ドクター和のニッポン臨終図巻】女優・市原悦子さん 最後まで声には力が宿っていた (1/2ページ)

 『まんが日本昔ばなし』のアニメが始まったのは、私が高校生の頃でした。部活と受験勉強に明け暮れた時期でしたが、時々、言いようのない残酷さを孕(はら)んだ物語を、つい夢中になって見ていました。

 あの番組で7つの声色を使っていた女優の市原悦子さんが、1月12日に都内の病院で亡くなりました。享年82。死因は心不全とのことです。

 その1カ月ほど前に盲腸と診断されています。手術は行わず、薬で治療を終えて12月30日に退院。お正月は自宅で過ごしましたが、1月5日に再び体調不良を訴え、別の病院に入院。7日までは会話ができていたそうですが、徐々に意識が混濁し、帰らぬ人となりました。

 報道だけでは、盲腸と死因の因果関係はわかりませんが、寝込んだのはわずか1週間あまり。ピンピンコロリと言えなくもありません。

 市原さんは、7年前にS字結腸がんを手術。2年ほど前には自己免疫性脊髄炎と診断されました。脊髄とは背骨に通っている神経のことです。免疫システムが脊髄の中に異物を見つけたと勘違いし、攻撃することで炎症が起こります。明確な原因は不明です。腰や背中がしびれ、痛むこともあり、思うように動けません。薬で痛みを緩和させるしかないのですが、悪化すると排泄(はいせつ)も困難になります。

 市原さんは上手に治療と付き合っていたようで、女優の仕事はセーブしていたものの、声優などで活動を続けられました。

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