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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「春」》当たり前を教えてくれた親に感謝  (1/2ページ)

 「お箸の持ち方がおかしい」

 「きちんとした鉛筆の持ち方をしなさい」

 子供の頃、親に何度も何度も口うるさく言われた。親はきちんとお手本を見せて、たぶんコツのようなものを教えてくれていたと思う。でも、子供だからまだ不器用だったせいもあるのか、なかなか手は思うように動いてくれない。

 箸を持つときは、どうしても中指が曲がってしまった。鉛筆は教えてもらった正しい持ち方をすると、思うように字が書けなくなった。

 「もううるさい。できないものはできない」

 厳しかった親にそんな言葉を発して反抗することはできなかったが、心の中ではいつもそう思っていた。でも、端からできないと諦めていたわけでない。子供ながらに何度も正しくしようと試みてもできなかったのだ。

 これは小学生の頃の話である。自分の記憶では、中学生のころは、鉛筆やシャープペンの持ち方は少しはましになったものの、まだ変であったと思う。

 それが、なぜか大学も卒業して社会人となった20代の頃、いつのまにやら、美しい箸の持ち方と正しいペンの持ち方になっていることに気付いた。高校や大学では忙しくて、そんなことに気をかける時間もなかったので、忘れていたが、よくよく自分の手を見れば、なぜかできているのである。

 そしていま、30代後半。いい大人である。仕事で会食することもある。そうした場所で、やっぱりときどき見かけてしまう。お箸の持ち方が変な人を。口にはもちろん出さないけれど、「ああ、変だ。格好悪い。」と思うのである。