記事詳細

【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「春」》春の鳥な鳴きそ鳴きそ~白秋歌集に祖父を思う (1/2ページ)

 仕事で北原白秋の詩集を読むことになり、そういえば実家の本棚にあったかもと探してみた。記憶通りの背表紙の本が見つかったが、詩集ではなく、歌集の選集だった。

 《春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外(と)の面(も)の草に日の入る夕》

 第一歌集「桐の花」の冒頭に置かれている歌だ。聞き覚えがあるのは、学校で教わったからだろう。春の野辺が朱に染まる夕べのひととき、鳥よ鳴くな-と訴える調べから、若さゆえの憂愁が伝わってくる。

 《君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ》

 こちらも有名な歌。同じく「桐の花」所収で、「春を待つ間」と名付けられた連作の一つだ。雪の清冽さと重なり、絶えて久しい純真な恋へのあこがれが呼び覚まされた。

 本の末尾の宣伝文に、「戦後初めて刊行された白秋選集の決定版」とうたっている。奥付を見ると昭和27年再版とある。

 読書好きだった父方の祖母の蔵書かと思っていたが、母に聞いてみたら、母方の祖父の本だという。祖父は私が小学生のころに亡くなっており、盆正月に訪ねても何となく怖くてちゃんと話した記憶がない。