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【膵臓がんをあきらめない】臨床研究、化学療法…進歩し続ける膵臓がん治療 (1/2ページ)

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 がんの「標準治療」とは、科学的根拠に基づき、専門家の間で最善であると合意を得られている治療法だ。そのため、最も多くの患者を救えると考えられている。

 しかし膵(すい)臓がんは、かなり進行してから見つかることが多いため、標準治療でも生存期間を延ばすことが難しい。そのため、ある程度の科学的根拠が認められる治療法については、臨床研究(治療法などの有効性や安全性をヒトで確かめ、検討する方法)として、病院の裁量で行っている治療法が多くある。

 『膵臓診療ガイドライン』委員の一人である、横浜市立大学医学部消化器・腫瘍外科学の遠藤格教授は、術前補助療法として、抗がん剤と放射線を組み合わせた治療を行っている。

 「術前に放射線をやったほうがいいかどうかという結論は出ていないのですが、放射線をあてると、がんが放射線で死ぬときに、がん抗原(免疫反応を引き起こす物質)のような因子を出すという研究があり、それを期待して行っています」

 ごく簡単に説明すると、放射線によって出たがん抗原と患者のリンパ球が出合って戦うべき相手だと覚えると、全身に広がった目に見えないがん細胞をやっつけてくれるのではないか、という仮説が考えられている。

 横浜市立大学附属病院では、手術前に2カ月抗がん剤治療を行ったあとに、放射線を2週間(週5日)照射するという治療法を行っている。他病院では、抗がん剤と放射線を同時に数週間行うという方法を採用しているところもある。

 膵臓がんの臨床試験は数多く、実施病院も少なくない。必ず受けられるとは限らないが、試してみたい人は主治医に尋ねたり、国立がん情報センターのウェブサイトなどで探してみてほしい。

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