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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「爽」》背中を押される小さな一言

 仕事で遅くなり、スマホに目を落としたまま、警備員さんに「失礼します」と挨拶して退社した。「お疲れさまでした」。お定まりの応答。そのまま通り過ぎたら、背中から「お気を付けてお帰りください」の声が追いかけてきた。

 初めての体験だ。この時間帯には、そう声がけするようになったのだろうか。警備の人は交代で何人か立っているが、どんな人だろう。振り返って見るのも妙な気がして、足を止めずに帰ったが、不思議なくらいうれしかった。

 夏の終わりから秋口まで、公私ともに用事がたてこんで、余裕なく過ごしていた。習い事の発表会を控え、お世話になっている方々へご案内を送ったのが9月下旬。「長く厳しい暑さが去り、ようやくしのぎやすくなってきました」

 だいたいが度量小さく、一度に多くのことを考えられない。仕事も稽古も中途半端。出演するなんて言わなければよかったと、直前になって悔やむのは毎度のことだ。当日は、失敗もありつつ、先輩方に「頑張ったわね」と声を掛けていただき、来年こそ挽回しようと勇気がわいた。小さな一言で救われることはたくさんある。

 このコラムを書き上げれば、仕事もちょっと息がつける。忙しさにかまけて、毎年、季節の便りに新米をいただく方へのお礼状も書けていなかった。来場くださった方々にも、言葉できちんと感謝を伝えなければ。

 「さわやかな風に背を押され、心弾む季節です。先日は温かいお気持ちをありがとうございました」

 うつむいていては、見落とすことばかり。少し巡った季節を感じ、ちゃんと前を向いて歩こう。

(N)

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。10月のお題は「爽」です。