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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「残」》お父さんは誰?不妊治療に取り残された子供の気持ち (1/2ページ)

 個人的なことだが、3年間の不妊治療を経てやっと長男(5)を授かった。どうしても子供がほしかった。もしも、夫が無精子症だったら、第三者からの精子提供を真剣に検討したと思う。だから衝撃だった。第三者からの精子提供による人工授精(AID)によって生まれた子が「自分の存在意義が分からない」と悩み、「自分が生きていていいのか」とまで苦しんでいる事実に。

 8月、第三者の関与した不妊治療で生まれた子供のケアをテーマにした講座を取材した。講師によると、AIDは約70年前に始まり、毎年約100人が誕生。精子提供者の多くは医大生とされるが、提供者のプライバシー保護のため、誰なのかは親や生まれた子には明かされない。

 登壇した女性は、32歳のときに両親が離婚し、このときに母親からAIDによる出生を明かされたと語った。「父親にかわいがられた覚えがないことなど、いろんなことが腑に落ちた。ショックは受けませんでした」

 だが、その母親が亡くなると、自分の存在意義が分からなくなり、不眠や耳鳴りなどさまざまな症状に苦しんだという。大切な事実を隠し続けていた母親への怒りや、精子提供者が誰なのかを知りたいという思いが高まり、眠れない日もあったと振り返った。

 海外では、子供が出自を知る権利を保障するため、子供が一定以上の年齢に達した段階での提供者の情報開示を法制化している国もある。だが、日本ではこうした法整備は進まず、子供は遺伝上の親を知る手段がないのが現状だ。

 ただ、提供者が分かったからといって苦しみがないわけではない。関西に住む60代の女性は父親が無精子症で、両親が親類の男性に精子の提供を依頼。男性の妻が反対したため、AIDの事実は隠されていた。

 女性は31歳のときに母親からこのことを告知され、「ショックで、異次元にほうり出されたようだった」。それまでの31年間がすべて嘘だったと感じ、怒りや不信感が募った。母親は「とにかく子供がほしかった」と繰り返すばかり。反対だったという提供者の妻に申し訳なく、「自分が生きていていいのか」とも思ったという。