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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「涼」》都会のよれよれ社員を癒やす山の涼

 暑い。だるい。そうだ、山に登ろう、と思い立ち、夜勤後4時間ほど仮眠を取ってから、むくりと起き、JR中央線の下り列車に飛び乗った。いざ高尾山(東京都八王子市)へ。

 都心からのアクセスがよく、平成19年にミシュランガイドで最高評価の3つ星を獲得。海外からの旅行客にも人気が出て、最寄りの京王電鉄高尾山口駅前は、ごった返していた。

 高尾山のいいところは、私のようなおばさんお一人様でも、臆せず、旅気分を楽しめるところだ。家族連れ、友人同士がわいわいと登る中、若者から中高年まで、お一人様登山客が意外と多いな、という印象だ。

 山に入ると、辺りは一面、緑の世界だ。青々と葉を揺らす幹の太い木々と、シダ、コケ、アジサイに山野草。小さな花のつぼみや、土からちょこんと顔を出す変わった色・形のキノコなど生命の息吹の数々を眺めながら、マイペースに山歩きを楽しむ。

 一人でも寂しくない。山を下ってきた人が、私とすれ違うたびに「こんにちは」とあいさつを交わしてくれるからだ。森の空気に負けないくらい、山の人間関係も爽やか。

 しかし基本的には、一人山歩きは黙々と、ひたすら登り、そして下るだけ。右、左…と足を運ぶうち、会社であったあんなこと、気にかかっていたこんなことが、脳裏によぎる。その度に、脳から悩みを引きはがし、歩きながら山肌にポイと投げて捨てる。ついでに都会の排気で汚れた肺もきれいな空気で洗濯して…と、いつしか山頂までの道のりは、体のあちこちに染みついたものを洗い流すみそぎの旅路へと変わっていった。

 半日、山歩きでリフレッシュを果たし、小さな達成感を得た私。週明けも、歩き清めた肺や脳はしばらく元気を保てる、と思っていた。が、すぐに元通りのくたくたのしおれ具合に。恐るべし、都会の空気の圧迫感…。

 そうして高尾山で撮影した花々やキノコの写真はウイークデーの精神安定剤となった。眺めては気持ちを癒やし、それでも息苦しくなったら、また登ろうと心に決めた。(A)

 【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。8月のお題は「涼」です。