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【生涯現役脳をめざせ!】ヘルニアが自然に消える? 技術の進歩が可能にした最新の腰痛治療 (2/2ページ)

 朝田 ひと昔前の「牽引(けんいん)か手術か」という時代に比べると、大きな進歩ですね。

 大川 牽引はエビデンス(科学的根拠)が乏しく、絶対的に行うべき治療ではなくなりました。

 朝田 次に、脊柱管狭窄症(図(下))の治療について教えてください。

 大川 脊柱管狭窄症は、神経の通り道が前からも後ろからも押されて狭くなり、神経が圧迫されて痛みます。腰よりもむしろ脚に痛みが出て長い距離を歩けなくなるのが特徴です(脚に痛みが出ないのがその前段である変形性腰椎症)。治療法としては、血液の流れを良くする薬や鎮痛剤による痛みのコントロールと運動療法。それでも効果が得られなければ手術で骨を削って神経の通り道を広げます。

 朝田 「腰の手術はやっても治らない」とよく言われます。それはなぜなのですか?

 大川 手術した場所の周囲が老化してしまうので、手術効果の持続期間はよくて10年くらいです。病気が進んで腰が曲がってしまった場合に対しては、「後弯(こうわん)矯正固定術」が近年開発されました。骨を削って失われた背骨のS字カーブを作り直し、正しい姿勢に固定するという手術です。背中の真ん中あたりから骨盤まで全部にボルトが入ります。すると腰が曲がっていた人もまっすぐ立って歩けるようになります。70代の方を中心に多くの術例があります。

 朝田 まさに究極の矯正手術ですね。日進月歩の技術進化を感じます。(協力・東京医科歯科大学)

 ■朝田隆(あさだ・たかし)1955年生まれ。メモリークリニックお茶の水理事長、東京医科歯科大学医学部特任教授、医学博士。認知症予防のデイケアプログラムの実施など第一線で活躍中。『効く!「脳トレ」ブック』(三笠書房)など編著書多数。

 ■大川淳(おおかわ・あつし)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科整形外科学分野教授。日本整形外科学会認定整形外科専門医。専門は脊椎・脊髄病。脊椎脊髄外科、特に難易度の高い脊椎疾患で豊富な治療実績。厚生労働省難治性疾患政策研究事業「靭帯骨化症調査研究班」班長。

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