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【おやじ酒場】都会のオアシスで極楽気分『串元』 「串焼き」じゃない「もつ炒め」

★「串元」JR新宿駅・東南口 

 新宿の再開発に乗り遅れていた東南口は埼京線の延伸をきっかけに開設され、駅前の風景は真新しい。刻一刻と顔を変えていく街並みにも、時の流れを忘れたかのような小路は残され、その一角には懐かしい居酒屋が佇む。今宵も酒にありつけた。

 東南口改札を出ると右側が甲州街道。並行して伸びる路地を新宿3丁目方面にテクテクと真っすぐ進む。ホッピーのケースが積み上げられた情緒のある軒先が「串元」。

 年季の入った暖簾をくぐると、10人ぐらいが座れるカウンターに8人掛けのテーブル席が4卓。厨房をのぞける止まり木に腰かけた。ホッピーセット(450円)を注文。クイッとやって息をつく。

 浅草で生まれた店主の荒井富一郎さんは御年82歳。北区王子のやきとり店で修業を積み45年前に大久保で店を構えて8年。この場所に移り36年。屋号の『串元』は「やきとり、もつ焼きは串の元。単純なんですよ」と笑う。

 あれっ? 店内に貼られた短冊の品書きには串焼きメニューはないけれど…。「もつ焼きをやっていたんだけれど、串差しが大変でね。さばくだけで済む、もつ炒めに変えたんだよ。30年以上は経つかな。当初は『串じゃないんだ』って相手にされなかったけれど、このほうが食べやすいでしょ」

 富一郎さんが寡黙に腕をふるう名物の「中華風もつ炒め」(500円)はカシラ、タンなど6種類。そのなかの2種類を頼もうとすると「量が多いわよ」と女将のヨシコさんが気遣ってくれ、まずは「レバ」をお願い。きざみニンニクが効いたコッテリ濃いめの味付け。甘辛タレにタマネギの千切りを絡めて食べるとクセになりそう。酒がグイグイ進むぞぉ。ペロリと食べて、お次は「シロ」。こちらはあっさりした味付け。食感を楽しんでハイボール(500円)に差し替えた。

 一品料理は奥の厨房で息子の新さんが受け持つ。「ナスベーコン」(450円)、「ポテトマカロニサラダ」(400円)など、アテに最適な料理がそろう。なかでも人気は「ナポリタン」(650円)。粉チーズがかかった本格的なスパゲティを箸でいただくのも楽しい。

 都会のオアシスでホッと息をつき極楽気分。俗世を忘れてもう一杯!

 ほろ酔い予算1500円~

 ■東京都新宿区新宿3の35の1。(電)03・3354・7018。営業17~22・30。土日祝休。

 ■高山和久 昭和の時代濃い酒場、うじうじと長っ尻できる居酒屋をこよなく愛す。お笑い系芸人を取材した後、今宵も東西南北の街でチョイと一杯、はしご酒~。

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