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乳がん治療経過の誤解 麻央さんブログで注目も症状は多様、「典型例」とは思わないで

 著名人のがん闘病は社会へのインパクトが大きい。乳がんを患い、6月に死去したフリーアナウンサー、小林麻央さん(34)が、亡くなる直前まで病状などをつづったブログは特に注目を集めた。

 米テキサス大MDアンダーソンがんセンターの上野直人教授は、麻央さんのブログが進行がんの闘病への関心を高めたことは大きな功績としつつ「乳がんが進行すると、誰もが彼女のような経過をたどると誤解した患者さんが多いのではないか、気掛かりだ」と話す。

 上野さんは抗がん剤治療のエキスパートである腫瘍内科医で、進行乳がんの治療を手掛けることが多い。治療や助言で関わった日本人患者の多くは、麻央さんのブログを読み「自分もいずれ麻央さんのような症状が出るのか」などと上野さんに問い合わせてきたという。

 上野さんは「医学的情報が不足しているため麻央さんの治療の中身については判断できない」と前置きした上で「進行がんで必ず特定の症状が出るとか、必ず入院が必要かと言えば、そんなことはない」と指摘する。

 症状の出方は個人ごとに大きく異なり、不快な症状もかなりコントロール可能になった。病状が進んでも社会生活を続け、入院せずに終末期も在宅で過ごす人が米国では珍しくないという。

 「日米の医療制度の違いはあるが、患者支援などの条件が整えばそれも可能だと知ってほしい」

 上野さんは「ブログはあくまで1人の例として距離を置いて読むことが大切。医療者も症状や経過は多様であることをきちんと説明すべきだ」と強調した。講演などのため6月下旬から7月上旬にかけ来日していた。

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