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【大人のエンタメ】この夏一押し!ゴッドファーザーより過激な“イタリアの闇” 「シチリアーノ裏切りの美学」28日公開

 ワシントン・ポストやガーディアンといった世界各国の有力雑誌、新聞が絶賛したマフィア映画が28日公開の「シチリアーノ裏切りの美学」。イタリア映画界の巨匠、マルコ・ベロッキオの最高傑作といわれ、この夏一押しの1本だ。

 ドラマの舞台は、イタリア・シチリアでマフィアの全面戦争が激化していた1980年代初頭、パレルモ派の大物ブシェッタ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)は抗争の仲裁に失敗し、国外へ逃れるがブラジルで逮捕され、本国の警察へ引き渡される。イタリアへ戻ったブシェッタは、麻薬と殺人に明け暮れる堕落した組織コーザ・ノストラに失望して、マフィア撲滅に執念を燃やすファルコーネ判事に協力することになるが…。犯罪組織の「血の掟」を破った男の数奇な半生を史実に基づいて描く。

 「ゴッドファーザー」シリーズのように、マフィアの抗争が、ドラマの前半で繰り返され、ファルコーネ判事爆殺などイスラム過激派まがいのテロまで登場するが、見せ場はコーザ・ノストラの幹部たちが裁かれる大法廷シーンで、ブシェッタが検察側の証人として、かつての組織メンバーと対決する場面がパワフルで迫力に満ちている。

 家族への深い愛情、家族同士の絆を描写するあたりは、「ゴッドファーザー」と重なる部分もあるとはいえ、むしろ権力とマフィアの癒着を暴いたフランチェスコ・ロージ監督の名作「シシリーの黒い霧」(62年)をほうふつとさせ、イタリア社会の暗黒面を活写した作品といえよう。

 ベロッキオ監督は、イタリアの元首相アルド・モロが極左テロリスト(赤い旅団)に殺害された事件(78年)をとりあげた「夜よ、こんにちは」(2003年)を制作するなど、政治や社会的テーマを巧に映画化する才能にたけている。

 今回も社会派的視点をもった重厚なドラマづくりが、同ジャンルには珍しい風格をもたらしている。 (瀬戸川宗太)

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