記事詳細

【小池一夫「名作伝説」】「春が来た」 老いの切なさ、恋の喜び、孤独… 仲代達矢と西田敏行の名優2人が魅せる (1/2ページ)

 小池一夫作品には、シリアスでハードボイルドな路線とともに、ユーモアと哀愁を感じさせる路線がある。後者の代表が「春が来た」。2002年にNHKでドラマ化された際には、仲代達矢と西田敏行の大河主演俳優の競演が話題になった。

 江戸で敏腕同心としてお役目第一で生きてきた甘利長門(仲代)は老中の縁戚の辻斬りを見逃すはめになり、自ら十手を返上。独り者の気楽さで自由に生きようと決心する。一方、御庭番の月形小介(西田敏行)も主人である前将軍の側室が亡くなった途端にお払い箱に。ひょんなことから出会った2人は、過去の自分に見切りをつけ、太郎兵衛、次郎兵衛と名前を変え、第2の人生を歩もうとする。

 やがて太郎兵衛は身投げをしようとした女お美代(南野陽子)にほれ、次郎兵衛は食材屋「四季屋」の後家おりせ(萬田久子)に一目ぼれ。ようやく人生の春が来たと思った2人だが思わぬ事件に巻き込まれる。

 堅物役の多い仲代が無精ひげで女好きの老侍、とても身が軽く見えない西田が忍び装束でバシッバシッと短剣で手裏剣をはじき返す(CGですが)。意外な役どころだが、原作劇画のイメージにぴったりなのだ。老いの切なさ、恋の喜び、孤独…とにかく名優2人はよく笑わせ、よく泣かせる。太郎兵衛は生真面目な次郎兵衛に「お前、女を知らないな」と言い出し、大げんかになるが、彼の純情を次第に理解する。また次郎兵衛も、お美代の暗い秘密を知った太郎兵衛の悲しみを思うのである。そんな折、おりせを狙う凶悪な政(榎木孝明)が卑劣な手で襲いかかる。体力に自信がない2人と政との決闘は大きなみどころだ。

関連ニュース