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ナチズムの恐ろしさ伝える特集上映「ナチスと映画III」 東京・渋谷のシネマヴェーラで開催

 コロナ禍や人種差別など世界的に不穏な空気が漂う今、「忍び寄る全体主義の恐怖」と題して、ナチズムの恐ろしさに焦点を合わせた特集上映「ナチスと映画III」は25日から、東京・渋谷のシネマヴェーラで開催される。8月28日まで。第3弾となる今回も34本を大放出だ。

 『潜水艦轟沈す』(1941年、マイケル・パウエル監督)は名優が顔を合わせた見て損のない1本。カナダの領海に侵入したUボートを空軍が撃沈する。かろうじて助かったヒルト中尉ら6人は中立国だったアメリカに潜入しようとするが…。ローレンス・オリヴィエ、レスリー・ハワード、レイモンド・マッセイらの共演は見もの。

 『ヒトラーの狂人』(43年、ダグラス・サーク監督)は無名時代のエヴァ・ガードナーが出演。チェコでヒトラーの右腕、ハイドリッヒが暗殺されナチスの報復が始まった…。ジョン・キャラダインがふんするハイドリッヒの冷酷さに背筋が寒くなる。

 『無謀備都市』(45年、ロベルト・ロッセリーニ監督)は第1回カンヌ国際映画祭のグランプリ作。終戦前後に撮影された荒廃した街が世界に衝撃を与えた。侵攻するドイツ軍にパルチザンの抵抗は激しくなるが…。イングリット・バーグマンがこの映画を見て、ロッセリーニとW不倫関係に陥ったことは当時大ニュースとなった。

 『ダーク・ストレンジャー』(46年、フランク・ラウンダー監督)。イングランドが憎いアイルランド娘だがIRAに入れない。そのためにドイツのスパイとなる。ユーモアが効いたサスペンスだが、若き日のデボラ・カーがいい。

 『ドイツ零年』(46年、ロベルト・ロッセリーニ監督)は言わずと知れた傑作。ドキュメンタリータッチで描く戦争の悲惨さがこれ以降の作家に大きな影響を与えた。

 他にも『生きるべきか死ぬべきか』(42年、エルンスト・ルビッチ監督)では主演のキャロル・ロンバートが、映画が完成した1週間後に飛行機の墜落事故で死ぬという悲劇の作品や、名作の誉れ高いハンフリー・ボガートとイングリット・バーグマンによる『カサブランカ』(42年、マイケル・カーティス監督)もある。

  (望月苑巳)