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【中本裕己 エンタなう】78歳の主演・石橋蓮司“笑”撃のハードボイルド! 大人向けの殺し屋映画「一度も撃ってません」

 役者は最高、台詞はウイットに富み、クールなのに笑える。「一度も撃ってません」(公開中)は、そんな大人向けの殺し屋映画だ。日本映画界きってのバイプレーヤー、石橋蓮司が、阪本順治監督の熱いラブコールを受けて、19年ぶりに78歳で主演している。

 石橋演じる市川進は、知る人ぞ知る“伝説のヒットマン”。…というのは嘘で正体は、理想のハードボイルドを極めるただの小説家だった。この出オチが分かってからのドタバタが面白い。

 市川は、時代遅れのハンフリー・ボガート風。コート姿で紫煙をくゆらせ、バーに陣取って、「夜は酒がつれてくる」とつぶやく。飲み仲間の元ミュージカル女優(桃井かおり)、裏社会に通じた元ヤメ検(岸部一徳)らが集い始める。夜な夜な「殺し」にからんだたくらみが交わされ、小説のネタ探しにしてはぶっとびすぎ。

 老骨にムチ打った翌朝は、シジミ汁をすすりながらお堅い妻(大楠道代)のグチを聞き、ゴミ出しもする市川。その妻もさすがに夫の行動を疑い始めて…。

 「探偵物語」の丸山昇一氏が描くオリジナル脚本と知り得心。工藤ちゃん(松田優作)と良い意味で同工異曲の主人公には男のロマンが漂う。柄本明・柄本佑、佐藤浩市・寛一郎の親子W共演、豊川悦司、江口洋介、妻夫木聡らの“らしくない”配役も見もの。豪華な顔ぶれの中、黙々と編み物をするバーテン役のプロレスラー、新崎人生も味わい深く、強烈な印象。続編を切望したい。(中本裕己)

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